小児眼科
弱視の治療は、視力の成長を妨げる原因を取り除いて、タイムリミット内に、見える力を獲得することです。視覚の感受性は、生後より1歳半頃までが最も高く、それ以降はゆるやかに下っていって、8歳~10歳ころまでがリミットだと言われています。
弱視には大きく分けて以下の4つの原因があります。
1 屈折異常弱視
高度の屈折異常(遠視や乱視、近視のこと)が原因です。そのために網膜にピントをあわせられず常にぼやけた状態でしか見えないので、視力が発達しません。治療は適切な屈折矯正をする(眼鏡をかける)ことです。正確な屈折値を調べるために、点眼をして、検査をする必要があります。
2 不同視弱視
右眼と左眼の屈折の差が大きいため、見やすいほうの眼を使い、見にくいほうの眼を使わないことが原因です。片眼が見えているため、特に気づかれにくいです。治療は①屈折異常弱視と同様に、適切な屈折矯正(眼鏡をかける)をして、常に両眼ともピントが合う状態にすることです。しかしそれだけでは見にくいほうの眼を使えるようにならないことも多く、見にくい眼でみる特訓(健眼遮閉といいます)をすることもあります。
3 斜視弱視
斜視が原因です。常に斜視になっている眼では眼の中心部にまっすぐ光が入らず、視力が育ちません。治療は斜視を治すことですが、目の位置だけを治しても、視力がでなければまた斜視が再発してしまう可能性が高いので、健眼遮閉などの弱視治療を併用して両眼を一緒に使えるようにする必要があります。
4 形態覚遮断弱視
先天白内障や眼瞼下垂、不適切な眼帯使用など、視力の発達時期に網膜に光が届かなくなることが原因です。まずはその原因を取り除くことが治療になります。他の弱視に比べて、光刺激すら網膜に届かない状態になるため、その時期が早くて、発見が遅いほど、視力予後が悪くなってしまいます。
弱視治療にとって大事なことは、タイムリミットがあり、子供のうち(だいたい10歳くらいまで)にしかできない、ということです。
そして、子ども自身が「見えない」といって訴えることもまずありません。子どもは、自分の見え方以外の見え方を知らないですし、自分の見え方が当たり前と思って過ごしているからです。感受性の高い、できるだけ早い時期にみつけて、適切な治療を開始することで、子どもの視機能を最良の状態まで育てることができます。
子供の目の障害は外見では分かりにくいため、見過ごされやすくて、なかなか気づくことが難しいのが現状です。個人差はありますが、3歳くらいになればある程度検査ができるようになります。「気付いたときには手遅れ」にならないためにも、視力が計れる年齢に達したら、目のはたらき具合を知るために一度眼科でしっかり検査を受けるようにしましょう。
お子様の視力の問題に早くに気付いてあげるためには
子供は自分で見え方について説明することができません。ご両親など身近な方が下記のようなことに気付いたら、お子様の視力に問題がある可能性がありますので、早めに眼科専門医を受診することをお勧めします。
-
- 目を細めて見ていることがある
- 頻繁に目を触ったり、こすったりする
- 絵本、テレビ、タブレットなどに顔を近づけて見ている
- ものを見る時に横目になる
- 目が光っているように見えることがある
- 片目を隠すと不安な様子になる、嫌がる
※当院では国家資格を持った視能訓練士が大切なお子様の視力検査を担当いたします。